バイバイしない友達(3)
バイバイしなくて済む方法なんて、考えてみればたった一つ。
それは一緒に住むこと。もっと言えば、結婚することだった。
昨日の夜、ふとそんなことに気づいた。
夫と一緒に住むようになり、結婚してから、心の隙間風のようなものは、気づいたら消えていた。
夜遅くまでくだらない話に花を咲かせ、一緒にテレビを見て笑って、夜は一緒に眠って、朝は一緒に目覚める。
多分それを幸せというのだろう。私にとって夫は、世界でたった一人の、「バイバイしなくて済む友達」なのだ。
相変わらず夫に対しても、キスしたいとか、その先のことをしたいとか、そういう欲求はないけれど、別にできないこともないから。それに、身体的接触を持つこととか、こどもを産むとか、そういうのは些細なことで、本質じゃない。私にはそう思えた。
人によってはそれを、「恋愛じゃない」「ただの依存」と切り捨てるのかもしれない。
だけどそれによって、私の命は救われて、ひとつの可愛い命も生まれて、だったらそれでもいいんじゃないのかな、と思う。
たった一人の、バイバイしなくて済む友達。
私は今日も、彼の帰りを心待ちにしている。